部門業績賞: 松岡 由幸(慶應義塾大学)

この度は設計工学・システム部門業績賞を頂き,誠に光栄に存じます.関係各位に厚く御礼申し上げます.表彰式の際に伺いました受賞理由によりますと,「デザインと設計の両分野を統合した新たな領域を開拓した」とのこと.正直なところ,それを開拓したと自負するには至っておりませんが,これまでずっとこの両分野の対比や統合を図りつつ,デザインと設計の両実務ならびにそれらを統合する理論・方法論研究に取り組んできました私にとりまして,この受賞理由は,この上ない喜びでありました.
10年前まで私は,ものづくりの現場に身を置き,ひたすら人工物のデザインと設計に従事してきました.また,その間の実務経験を通じて,幾つかのデザイン・設計行為の共通性に関する“実感”も得られています.それらの実感を基に,その後,私はデザイン理論・方法論に関する仮説を立案し,その仮説を実際の人工物デザインに適用することで有効性検証を行うというスタイルで,研究を進めています.
現在,私が主宰しております「デザイン塾」では,デザインと設計の両分野の研究者や実務者が集まり,両者を統合した理論や方法論について議論しています.この議論のなかで,従来のデザインと設計は実務上の補完関係にあるものの,それらの理論・方法論上には多くの共通点が存在することもわかってきました.このことは,両分野を統合する新たなデザイン・設計の研究が有効であることを示唆しており,今回の受賞を機に,皆様からのご指導を仰ぎつつ,今後さらなる努力を続けて参りたいと存じます.有難うございました.

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